少年事件は成人と何が違うか――家庭裁判所・審判の仕組み

20歳未満の少年が関わる刑事事件は「少年事件」として扱われ、成人の刑事事件とは手続きが大きく異なります。少年法は「処罰」よりも「更生」を重視しており、少年の将来を守るための特別な仕組みが設けられています。

ただし、2022年4月の改正少年法施行により、18歳・19歳は「特定少年」として位置付けられ、原則逆送対象事件の拡大・起訴後の実名報道解禁など、17歳以下とは異なる扱いを受ける部分があります。本記事は主に17歳以下の少年事件を念頭に説明しますが、18歳・19歳の事件については個別にご相談ください。

最大の違いは、捜査が終わった後の手続きです。成人事件では検察官が起訴するかどうかを決めますが、少年事件では原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。証拠が不十分な場合などの例外を除き、検察官が成人事件のように「起訴猶予による不起訴」で事件を終結させることは極めて限られています。

家庭裁判所では、調査官による面談・審判・処分決定という流れで手続きが進みます。「刑事裁判」ではなく「審判」であり、原則として非公開で行われるため一般の傍聴はできません(一定の重大事件では被害者等の傍聴が認められることがあります)。

逮捕された場合の48時間――観護措置(少年鑑別所)を阻止するために

少年が逮捕されると、成人と同様に最大72時間の身柄拘束があります(警察で最大48時間、その後検察庁で最大24時間)。その後、事件が家庭裁判所に送致されると、裁判官が観護措置をとるかどうかを決定します。

観護措置とは、少年を少年鑑別所に収容する身柄拘束措置です。観護措置の期間は、法律上は原則として2週間を超えることができず、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新が認められ、最長4週間まで延長されます。一定の重大事件では、要件を満たす場合にさらに延長され、最長8週間程度に及ぶこともあります。実務上は多くの事件で更新がなされるため、観護措置の期間は4週間程度となるケースが一般的です。観護措置が決定されると、原則として審判が終わるまで鑑別所での生活が続くことになります。

弁護士(付添人)は、観護措置の決定前に意見書を提出し、裁判官・調査官に働きかけて観護措置の阻止を目指します。少年の家庭環境・学校の受け入れ状況・保護者の監督体制などを具体的に示すことで、身柄拘束を回避できる可能性があります。

逮捕から48時間以内の弁護士介入が、観護措置阻止のための最重要ポイントです。

在宅少年事件の落とし穴――誘導に弱い少年の取り調べ対応

少年が逮捕されずに在宅のまま捜査される事件でも、警察・検察による取り調べは行われます。そこで特に注意が必要なのが、少年の被誘導性・迎合性です。

少年は精神的に未熟なため、大人の権威ある存在(警察官・検察官)から問い詰められると、自分の意思に反して「そうです」「やりました」と答えてしまうことがあります。一度署名した供述調書は、少年審判でも重要な証拠として扱われます。

弁護士が早期に介入することで、取り調べ前に「何を話し、何を話さないか」を整理し、不利な調書が作られるリスクを減らすことができます。「うちの子は軽い気持ちで認めてしまいそうで心配」という保護者の方は、呼び出しが来る前にご相談ください。

家庭裁判所の審判――処分の種類と付添人の役割

家庭裁判所に事件が送致された後、弁護士は「付添人」として活動します。付添人は、少年と保護者に寄り添いながら、調査官の面談に向けた準備・意見書の提出・審判期日への出席などを行います。

審判での処分は、主に以下のとおりです。

審判不開始・不処分は、審判を開かずに終わる、または審判を開いても処分なしで終わる最良の結末です。少年にとって成人事件の前科に相当するような不利益は基本的に残りません。

保護観察は、少年院には送らず、保護司などの指導を受けながら社会生活を続ける処分です。

少年院送致は、少年院に収容して更生を図る処分です。学校・就職に大きな影響が出ます。

逆送(検察官送致)は、事件の重大性から成人と同じ刑事裁判で裁かれることになる処分で、少年にとって最も不利な結末です。なお、特定少年(18歳・19歳)については、原則逆送の対象となる事件の範囲が17歳以下より広く設定されています。

付添人は、少年の反省・被害弁償・更生環境の整備などを積み重ねながら、できる限り軽い処分を目指します。

学校・進学・就職への影響と更生に向けたサポート

少年事件の記録は、原則として家庭裁判所などにおいて管理され、成人後一定の期間が経過すると閲覧・利用が制限されるなど、成人事件の前科とは異なる取り扱いがされています。一般的な就職や資格取得の場面で、少年時代の処分が成人の前科のように直接的に問われることは基本的にありません。

ただし、審判が進む間の学校への影響は避けられません。逮捕・少年鑑別所への収容が長引くほど、学校生活への復帰が難しくなります。弁護士が早期に動き、観護措置を阻止して身柄を早く解放することは、学校との関係を守ることにも直結します。

また、少年事件では保護者の関与が審判の判断に大きく影響します。「保護者がしっかりと監督する体制があるか」が重視されるため、弁護士は保護者とともに環境整備の具体策を考え、家庭裁判所に示します。

広島あさかぜ法律事務所では、少年事件の付添人活動をお受けしています。費用については弁護士費用ページに少年事件の体系を記載しておりますのでご確認ください。お子さんの将来を守るために、早い段階でのご相談をお勧めします。お電話・LINEでもご相談を承ります。