お子様が警察の捜査を受けたり、逮捕されたりした直後は、親御様もパニックになり「これからどうなってしまうのか」と深い不安を抱えられることと思います。

ここでは、あさかぜ法律事務所がこれまで広島家庭裁判所管内の少年事件を数多く扱ってきた経験に基づき、親御様から実際に寄せられるリアルな疑問に、実務の観点から率直にお答えします。


【第1章】逮捕・発覚直後(48時間以内)の親の初期対応

Q1. 深夜に警察から「息子さんを補導・逮捕した」と電話がありました。親としてまず何を聞き、どう動くべきですか?

A. 突然の電話に動転されると思いますが、まずは落ち着いて以下の「5つの必須情報」を警察官から確認してください。

  • どこの警察署の、何課の、誰か(例:広島中央署の少年係の〇〇さん)
  • 被疑事実の概要(何をした疑いで捕まっているのか)
  • 現在の状況(すでに逮捕されているのか、任意の事情聴取か)
  • 接見禁止がついているか(家族でも面会できない制限があるか)
  • 今後のスケジュール(いつ検察庁へ行くのか、釈放の可能性はあるか)

電話口でパニックになり、被害者の方の連絡先を聞き出して直接謝罪に行こうとする方がいらっしゃいますが、これは証拠隠滅や被害者威迫と疑われる危険な行為です。まずは上記を確認し、当日の夜間や翌朝一番に弁護士にご相談ください。

【初動で避けるべきNG行動】

  • 被害者本人やその家族に、弁護士を通さず直接連絡・訪問すること
  • SNSなどに事件の経緯やお子様の状況を書き込むこと
  • 子どもを責め立てて、事実関係を十分確認しないまま叱責すること

いずれも、「証拠隠滅」「被害者への不当な働きかけ」と受け取られたり、お子様の供述が不自然になる原因となるおそれがあります。不安なお気持ちはもっともですが、独断で動く前に一度ご相談いただくことをお勧めします。

Q2. 逮捕後、子どもはどうなりますか?手続の流れを教えてください。

A. 警察で逮捕されると、通常は48時間以内に検察庁へ送られ、その後、検察官が勾留請求するかどうかを判断します。

勾留された場合でも、少年事件では「全件送致主義」が採用されているため、最終的には家庭裁判所へ送致され、観護措置がとられるかどうかが判断されます。

もっとも、処分は一律ではなく、

  • 事件の内容
  • 少年本人の反省状況
  • 家庭環境
  • 学校との関係
  • 更生可能性

などを踏まえて個別に判断されます。

身柄拘束が続く場合、警察段階から家庭裁判所送致までは、概ね2〜3週間程度で進むことが一般的です。

Q3. まだ逮捕はされておらず「明日警察署に来るように」と言われました。行く前に弁護士に相談する意味はありますか?

A. 極めて大きな意味があります。当事務所でも、任意の呼び出し段階でご相談を受け、取調べ前に「何を話し、何を話すべきでないか」の供述方針を整理した結果、無用な誤解を防ぎ、最終的に審判不開始決定で終了した事案があります。警察の「ちょっと話を聞くだけだから」という言葉を鵜呑みにせず、最初の事情聴取の前に専門家のアドバイスを受けることが、お子様の不利益を防ぐ最大の防御になります。

また、少年審判の処分内容は、裁判官が家裁調査官の意見を参考にして決めることが多いという実務上の特徴があります。早期に弁護士へご依頼いただくことで、審判までの期間に付添人と家裁調査官との間で問題点のすり合わせを行い、お子様の更生に向けた方針を共同で策定していくことが可能になります。この「すり合わせの期間」をどれだけ確保できるかが、結論を大きく左右します。

Q4. 警察の段階で弁護士を呼ぶことはできますか?

A. はい、可能です。逮捕された直後であれば、広島弁護士会の「当番弁護士制度」を利用して、無料で1回弁護士を呼ぶことができます。また、私選弁護人をご依頼いただければ、刑事手続の段階から警察署へ接見(面会)に行き、取調べへの対応をアドバイスしたり、早期の身柄解放に向けた活動をスタートさせることができます。


【第2章】観護措置・鑑別所での生活と面会

Q5. 「観護措置」とは何ですか?どれくらいの期間入るのでしょうか?

A. 観護措置とは、家庭裁判所での審判までの間、少年を少年鑑別所に収容し、性格や生活環境、再非行リスクなどについて調査・鑑別を行う手続です。

法律上は原則2週間とされていますが、実務上は更新されることも多く、多くのケースでは約4週間前後となります。

もっとも、事案の内容や調査状況によっては、それ以上の期間となる場合もあります。

この期間中、親御様はお子様との面会を重ねながら、弁護士(付添人)と協力し、

  • 学校との調整
  • 生活環境の見直し
  • 再発防止策
  • 家庭内の支援体制

などを整えていくことになります。

Q6. 広島少年鑑別所での面会や差し入れのルールを教えてください。

A. 広島少年鑑別所(広島市東区光町)では、平日のみ面会や差し入れが可能です。受付時間は決められており、1回の面会時間は15〜20分程度です。

差し入れについては、現金や衣類のほか、書籍や手紙も可能ですが、施設の規律を乱すものや、事件に関連する不適切な内容が含まれる手紙は検閲で止められることがあります。面会の状況ややり取りは職員により把握されており、その態度は家裁の調査官にも報告されるため、親御様も感情的にならず、お子様の反省を促すような接し方が求められます。

Q7. 鑑別所に入っている間、子どもが反省していないように見えて不安です。

A.ご不安に感じられるのは自然なことです。
しかし、逮捕直後や鑑別所に入ったばかりの少年は、現実を受け止めきれず、虚勢を張ったり他人事のように振る舞ったりすることが珍しくありません。

付添人である弁護士が何度も面会に足を運び、客観的な事実や被害者の痛みを伝え、今後の人生について共に考えるプロセスを経て、初めて「真の内省」が促されます。最初から完璧に反省している少年は稀であり、その過程をサポートするのが私たちの重要な役割です。


【第3章】捜査・示談交渉と「ネットの誤解」

Q8. ネットには「被害者と示談できないと少年院に行く」とありました。無理をしてでも高額な示談金を払うべきですか?

A. これはネット上で最もよく見られる危険な誤解です。「示談=処分軽減」という単純な構図ではありません。

当事務所の過去の事例でも、事実と異なる容疑や、相手方代理人からの不当な過大請求(事件と無関係な第三者の損害など)に対しては、安易に示談せず毅然と争った結果、嫌疑不十分で一部不送致となり、最終的に少年院を回避できた事案があります。

示談を進めるかどうかは、事実関係・証拠状況・被害内容などを踏まえて慎重に判断する必要があります。

罪名や事実関係が固まっていない段階で示談を急ぐことは、少年の真の更生を妨げるリスクすらあります。

Q9. 警察で「正直に話せば少年院には行かないよ」と言われたそうです。本当ですか?

A. 取調べでは、「正直に話した方がよい」「反省を示した方がよい」といった説明を受けることがあります。

もっとも、最終的な処分を決めるのは家庭裁判所であり、警察官が処分結果を決定できるわけではありません。

また、事実と異なる説明をしてしまったり、十分整理しないまま供述してしまった場合、後から修正することが難しくなるケースもあります。

どのような内容を話すべきか、どの点を慎重に整理すべきかは、事件の内容や証拠関係によって異なります。

そのため、取調べの前段階から弁護士へ相談することには大きな意味があります。

Q10. 少年事件でも「黙秘権」は使えますか?反省していないと思われませんか?

A. もちろん使えます。ただし、少年事件の目的は「更生」であるため、明らかに事実であることまで意地になって黙秘を続けると、「自分の行動に向き合っていない」と家庭裁判所に判断され、不利益に働くリスクがあるのも事実です。

どこまで話し、どこから黙秘すべきかは、事件の証拠関係や少年の特性によって全く異なります。だからこそ、経験豊富な弁護士の判断が不可欠です。

Q11. 成人と同じように刑事裁判になること(逆送)はありますか?18歳・19歳の場合は?

A. 殺人や強盗など、一定の重大事件については、家庭裁判所から検察官へ事件が送り返され(逆送)、成人と同様の刑事裁判を受けることがあります。

特に、2022年の少年法改正により、18歳・19歳は「特定少年」と位置づけられ、原則逆送の対象となる事件の範囲が拡大されました。

もっとも、すべての対象事件で必ず逆送されるわけではなく、

  • 事件の内容
  • 少年本人の反省状況
  • 更生可能性
  • 家庭環境

などの個別事情を踏まえ、家庭裁判所に留まる場合もあります。

また、逆送後に起訴された場合には、実名報道がなされる可能性もあるため、特定少年事件では特に慎重かつ迅速な対応が求められます。


【第4章】審判と処分のリアル(広島家裁の実務)

Q12. 広島家庭裁判所での「少年審判」はどのような雰囲気で行われますか?

A. 刑事裁判のような公開の法廷ではなく、非公開の審判廷で行われます。大きな円卓などを囲む形で、裁判官、家裁調査官、少年本人、保護者、そして私たち付添人(弁護士)が同席します。

刑事裁判のように検察官が少年を激しく追及する場ではなく、裁判官が少年に直接語りかけ、親御様にも「今後の指導方針」などを質問する、対話重視の張り詰めた空気が漂います。

Q13. 審判の場で、子どもが自分を良く見せようと嘘をついた場合、親はどう対応すべきですか?

A. 少年審判では、少年本人が自分を守ろうとして事実を軽く説明したり、言い訳をしてしまうことがあります。

もし明らかに事実と異なる説明をしている場合には、親御様としても感情的にならず、冷静に事実を整理したうえで、必要に応じて毅然と訂正する姿勢が求められます。

家庭裁判所は、少年本人だけでなく、「家庭に適切な指導監督力があるか」という点も重視しています。

親御様が事実と異なる説明に同調してしまうと、「適切な監督が難しい」と受け取られ、不利な事情として考慮される可能性があります。

Q14. 少年事件の「保護処分」にはどのような種類がありますか?

A. 主に以下の処分があります。

  • 保護観察:自宅で生活しながら、定期的に保護司の指導を受けます。
  • 少年院送致:施設に収容され、矯正教育を受けます。
  • 児童自立支援施設等送致:比較的低年齢の少年に福祉的な指導を行います(広島県には「広島県立若葉園」などがあります)。
  • 児童相談所長等送致:当事務所の解決実績にもありますが、法的処罰よりも医療・福祉的支援(児童相談所や子ども家庭センターでの対応)が適当と判断された場合の措置です。

※事案が軽微で環境が整っている場合は、「不処分」や「審判不開始」で手続きが終わることもあります。

Q15. 「少年院」とはどのような場所ですか?入る期間はどれくらいですか?

A. 少年院は刑務所とは異なり、規律ある生活の中で学習や職業訓練、情操教育を行う矯正施設です。中国地方には「広島少年院(東広島市)」や女子向けの「貴船原少女苑(東広島市)」などがあります。

収容期間は画一的ではありませんが、少年の年齢や非行の深さによって「第1種〜第3種」に区分され、期間も「短期処遇(概ね6ヶ月以内)」と「長期処遇(原則2年以内)」に分かれます。真面目に更生プログラムに取り組めば、仮退院が認められることもあります。

Q16. 学校には誰が、いつ、どこまで伝えるべきですか?退学になってしまわないか心配です。

A. 学校への報告は、事件の性質や逮捕報道の有無、学校側の特性によって慎重に判断すべきです。

警察から直接学校に連絡が行くケース(学校連絡制度)もありますが、そうでない場合、慌てて親御様からすべてを報告した結果、過剰な反応を招き自主退学を迫られるケースもあります。当事務所では、弁護士が窓口となって学校側と協議し、更生環境としての学校の協力を仰ぎつつ、退学という最悪の事態を回避するための折衝を行います。


【第5章】弁護士への依頼について

Q17. 少年事件をあさかぜ法律事務所に依頼するメリットは何ですか?

A. 少年事件では、単に法的な主張を行うだけでなく、「なぜその行動に至ったのか」「再発防止のためにどのような支援が必要か」を見極める視点が極めて重要になります。

当事務所では、

  • 家庭環境の調整
  • 学校との協議
  • 医療・福祉機関との連携
  • 生活環境の見直し

などを含め、更生に向けた支援を重視して対応してきました。

例えば、少年本人の反省文や日常の様子から発達的課題の可能性を把握し、ご家族と協力しながら環境調整を進めたことで、福祉的支援を中心とした対応につながったケースもあります。

目先の処分だけでなく、お子様の将来を見据えたサポートを重視している点が、当事務所の特徴です。

Q18. 弁護士(弁護人)と付添人の違いは何ですか?

A. 「弁護人」は、主に警察や検察の捜査段階(刑事手続)において、少年の権利を守り、不当な取調べを防ぐ役割を担います。

事件が家庭裁判所に送致されると、呼び名が「付添人」に変わります。付添人は、法的防御だけでなく、少年の内省を促し、学校や家庭の環境調整を行い、裁判官や調査官に対して「この少年は社会の中で更生できる」と主張する、いわば「更生のコーディネーター」としての役割が強くなります。

Q19. 弁護士費用の目安を教えてください。

A. 事件の複雑さや身柄拘束の有無によって異なりますが、当事務所では、ご相談時に明確な費用基準をご提示し、ご納得いただいた上で契約を進めております。

また、一定の重大事件(特定少年の事件や、被害者がいる重罪事件など)で観護措置がとられた場合には、国の費用で弁護士がつく「国選付添人制度」の対象となることもあります。費用の不安も含めて、まずは一度ご相談ください。

Q20. 子どもの将来への影響(就職や結婚)が心配です。前科はつきますか?

A. 少年審判による保護処分(保護観察や少年院送致)は、刑事罰ではないため、戸籍や住民票に記載されたり、法的な「前科」として残ることはありません。したがって、一般的な就職や結婚において、前科を理由に不利益を被ることは原則としてありません。

ただし、ネット上に実名や事件の事実が残ってしまった場合のリスクは別問題です(デジタルタトゥー問題)。私たちは、事件そのものの解決と並行して、お子様の未来を守るためのトータルサポートを心がけています。

初期対応の段階で将来への影響が大きく変わる分野でもありますので、不安がある場合は早めにご相談ください。