長年連絡を取っていなかった親の相続。後妻・異母兄弟との協議も、負債への不安も、すべて弁護士が代わって受け止めた事例。

長年お会いになっていなかった親が亡くなられた——という知らせを、ある日突然、第三者から受け取る。当事務所には、こうした「予期せぬかたちで始まる相続」のご相談が、毎年一定数寄せられます。

※本記事は、弁護士法人あさかぜ法律事務所全体の相続解決実績の一例として掲載しています。広島駅前事務所で実際に受任した案件のみを掲載する趣旨ではありません。

疎遠だった親の相続でご依頼者が抱える不安は、決して単一ではありません。

  • 長く会っていなかった親族と、これから協議しなければならない心細さ
  • 借金や保証債務が見つかったら……」という、見えないものへの恐怖
  • 遠方の不動産・空き家を相続することへの抵抗感
  • どこに何の財産があるのかも分からないという、足元の見えない不安

これらが一度に押し寄せる中で、「できることなら、直接連絡を取りたくない」と願うご依頼者は、本当に多くいらっしゃいます。本件のご依頼者も、まさにそうした不安を抱えてご相談にお越しになりました。

①不安——「突然始まった、知らない相続人との協議」

ご依頼者は、長年お会いになっていなかった実父の死亡を、司法書士の先生からの通知によって、ある日突然お知りになりました。

相続人として名前を連ねる方々のなかには、実父の後妻にあたる方、そして異母兄弟が含まれていました。これまでほとんど面識のない相手と、亡くなった実父の遺産について話し合わなければならない——その状況に立たされたとき、心が動揺するのは当然のことです。

ご依頼者が当初お持ちだったお気持ちは、「できることなら、直接やりとりはしたくない」。そして、「もし実父に借金や保証債務があれば、自分にもそれが降りかかってくるのではないか」という、目に見えない負債への深い不安。さらに、「遠方の不動産を相続したくない」という、現実的な気持ち。これらが折り重なり、ご相談にお越しになる時点で、すでにかなりの心労を抱えておられました。

【弁護士コメント】

疎遠な親の相続では、「面識のない人と話さなければならない」「これから何が出てくるか分からない」という二重の不安を抱えてご来所される方が、ほとんどです。法律上、相続人の地位は、ご本人の意思とは関係なく自動的に生じます。「関わりたくない」というお気持ちだけで時間が過ぎてしまうと、相続放棄の機会を逃すなど、かえって不利益を被ることもあり得ます。だからこそ、まず弁護士を代理人に立てて、ご依頼者ご自身は安全な距離に身を置く——この最初の一歩が、こうした事案では何より大切になります。

②整理——「弁護士が窓口を引き受け、負債の有無を書面で明らかにする」

ご相談をお受けしたあと、当事務所がまず行ったのは、ご依頼者が他の相続人と直接やりとりされる場面を、一切なくすことでした。

早い段階で受任通知を発送し、ご依頼者への連絡経路を当事務所のみに集約。以降、後妻の方・異母兄弟の方からの電話や郵便は、すべて当事務所が受け取り、ご依頼者のご自宅に届くことはなくなりました。

最大のご懸念であった負債調査については、相手方に対して被相続人名義の負債の確認と開示を書面で求めるかたちを整え、それを前提に協議を進めました。これにより、「あとから知らない借金が出てくるのではないか」という不安を、手続のなかで一つひとつ可視化していくことが可能になります。

【弁護士コメント】

「相続人同士の連絡を取りたくない」というお気持ちは、ご相談ではとても自然で、正当なものです。感情の蓄積がある相手との話し合いは、こじれれば数年単位で膠着しますし、何気ない一言がのちのち不利益につながることもあります。当事務所では、ご依頼直後に受任通知を速やかに発送し、それ以降のご連絡は、すべて当事務所でお受けする体制を整えます。弁護士が窓口となることで、ご依頼者は何かを言われる前に安全な距離を確保できるのです。

【弁護士コメント】

借金の有無を早期に明らかにすることは、相続事案の核心です。相続放棄には「自分のために相続があったことを知ってから3か月」という期限があるため、被相続人の負債情報は、できる限り早い段階で整理する必要があります。本件のように相手方への情報開示請求のほか、当事務所では信用情報機関への開示請求、自宅・金融機関・公的書類の調査など、複数の手段を組み合わせて、被相続人の財産と負債の全体像を明らかにしていきます。

③安心——「不動産を取得せず、代償分割によって金銭で解決」

不動産を取得せず、代償分割によって金銭で解決しました。

協議の結果、ご依頼者はご自身が望まない不動産を相続財産として抱え込まないかたちで調整を整え、数百万円規模の代償金を取得して、相続手続を完了されました。

「不動産を相続したくない」というお気持ちには、明確な理由があります。疎遠だった実父の不動産は、

  • 遠方にあり、管理に通うことができない
  • 空き家のまま固定資産税や維持費を払い続けることになる
  • 他の相続人との共有関係を、何年も引きずってしまう

——こうした将来にわたる負担をもたらす場合が少なくありません。本件では、これらのリスクをすべて断ち切ったうえで、確実なお金として手元に残るかたちでの解決を実現しました。

【弁護士コメント】

遺産分割では、「何を取るか」と同じくらい大切なのが、「何を取らないか」という視点です。代償分割という手法を活用すれば、特定の遺産(多くの場合は不動産)は他の相続人が取得し、その代わりに公平を期するための金銭(代償金)を受け取るかたちで、相続をまとめることができます。空き家相続遠方不動産のお悩みを抱える方にとって、これは現実的かつ有効な解決手段です。本件は不動産を相続したくないというご希望に沿った典型的な解決例で、将来の負担を残さない、当事務所として満足度の高い成果でした。

解決後のお気持ち——「もう、この件で頭を悩ませなくて済む」

長年お会いになっていなかった相続人と、一度も顔を合わせることなく、実父の相続手続を完了されたご依頼者。手続が終わった日、こうしたお声を頂戴しました。

「もう、この件で頭を悩ませなくて済む」

ご相談にお越しになった日の表情と、すべてが終わったあとのお声——その間にあったご依頼者のお気持ちの変化こそ、私たちが何よりも大切にしているものです。

【弁護士コメント】

相続手続のゴールは、遺産分割協議書に判を押した瞬間ではありません。その後の人生で当該案件のことを考えずに済む状態こそが、本当のゴールだと、当事務所は考えています。相続トラブルは、表面的に「分割」が成立しても、その後も連絡や遺恨を引きずってしまうケースが少なくありません。本件のように、窓口の一本化+負債リスクの遮断+代償金による精算という三つを満たした解決ができたことは、ご依頼者にとっても、私たちにとっても、最も望ましい着地点でした。

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