「費用が安いから」と人気の自筆証書遺言書保管制度。でも、実際に利用してみたら……?
今回は、当事務所の弁護士が実際にサポートに入って痛感した「想像以上の時間と負担」について、リアルな体験談をお届けします。
「親に遺言を書いてほしいけれど、どちらの方法が合っているのかわからない」という方にも、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

【体験レポート】弁護士が実際にサポートして感じた「想像より時間がかかる」現実

予約必須・審査待ちあり……夫婦2名で「計4時間」のリアル

自筆証書遺言書保管制度は予約必須で、法務省も書類審査等に伴う待ち時間の発生を案内しています。また、夫婦がそれぞれ1通ずつ申請する場合は1人につき1件の予約が必要とされており、今回はあらかじめWEBで2名分の予約を入れたうえで臨みましたが、「トータル3時間くらいかな」というイメージで13時に法務局へ入りました。

4時間当事務所が同行した事例でかかった時間(夫婦2名分の申請)

13時入り → 17時に保管証受け取り
所要時間は法務局の運用や当日の状況、書類の補正要否により異なります。

「書類を出して、少し待てば終わり」とイメージされている方も多いと思いますが、当事務所が同行した事例では、ご夫婦2名分の申請に約4時間を要しました。所要時間は法務局の運用や当日の状況、書類の補正要否により異なります。

なぜ時間がかかったのか?手続きの流れと「待機環境」のハードル

法務局では、次のような流れで手続きが進みます。

  1. 本人確認のチェック
  2. 申請書・添付書類の形式審査
  3. 自筆証書遺言の原本と申請書の照合
  4. システムへの入力・登録作業

特にご夫婦など複数名が同日に申請する場合、作業が2件分になるため、それぞれの確認結果を待つ時間が積み重なり、結果的に待ち時間が長くなりがちです。

実際に行ってみて強く印象に残ったのが「待機環境」でした。今回同行した法務局では、申請者本人が待合スペースで待機する時間が長くなりました。当日の運用上、手続きが完了するまで継続して待機することになります。

若い方やお元気な方であればまだしも、ご高齢の方や足腰に不安のある方には、相応の負担となり得ると感じました。今回ご夫婦のサポートに入り、横で様子を見ていて、長時間の待機が体力的に大きな負荷になることを改めて実感しました。

自筆証書遺言(保管制度)と公正証書遺言、どちらを選ぶ?

「本人が法務局で待機する負担」から考えるベストな選択

自筆証書遺言の保管制度は、保管申請手数料が1通3,900円と比較的リーズナブルで、紛失・改ざんリスクを抑えられる、よくできた制度です。ただし、「必ず本人が法務局へ出向かなければならない」という絶対条件があります。

当事務所が実際にサポートに入って感じた2点:

  • 手続きそのものは合理的だが、1件につき1〜2時間は見ておいた方が安心
  • 高齢の方にとって、法務局での長時間の待機は想像以上に体の負担が大きい

「長時間の外出や役所での待ち時間が不安」「膝や腰が悪く、長時間座りっぱなしはつらい」といったご事情がある方には、自筆証書遺言の保管制度よりも、公正証書遺言を軸に検討されることを強くおすすめします。

広島駅前エリアの方にとっての「公正証書遺言」という選択肢

公証役場に払う費用は「全国一律」で、想像よりもシンプル

公正証書遺言の作成費用(公証役場に支払う手数料)は、「公証人手数料令」という政令で全国一律に定められており、どの公証役場で作っても金額は同じです。費用は遺言の対象となる財産額に応じて決まります。

目的価額(財産額)公証人基本手数料(公証人手数料令による)
100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下1万1,000円
500万円超〜1,000万円以下2万円
1,000万円超〜3,000万円以下2万6,000円
3,000万円超〜5,000万円以下3万3,000円
5,000万円超〜1億円以下4万9,000円

これに、全体財産が1億円以下の場合は遺言加算1万3,000円が加算されます。また、書面で正本・謄本相当書面の交付を受ける場合は、1枚300円の手数料がかかります。さらに専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)にサポートを依頼すると、別途報酬がかかるケースが多くなります。

※上記手数料は最新の公証人手数料令に基づくものですが、制度改定により変更される場合があります。詳細は公証役場で直接ご確認ください。

「公証役場の費用+証人費用+専門家報酬」まで含めたトータルの相場感としては、シンプルなケースでだいたい12万〜30万円程度と案内している専門家サイトが多く見られます。

ご自宅・病院・施設まで来てもらえる「出張公正証書遺言」

広島駅前周辺にお住まいの方の中には、「体力的に法務局や公証役場まで行くのが不安」という声もよく伺います。そのような方にぜひ知っておいてほしいのが、「公証人による出張での公正証書遺言作成」です。

  • 公証人がご自宅・病院・介護施設などに出向き、その場で公正証書を作成してくれる
  • 遺言者ご本人は、慣れた環境で椅子やベッドから移動せずに手続を完了できる

出張の場合、公証役場に支払う費用は次のような構成になります。

  • 公正証書遺言の基本手数料(財産額に応じた数万円前後)
  • 出張による加算:通常手数料の5割増し(50%加算)
  • 日当:4時間以内1万円、1日(4時間超)2万円
  • 交通費:実費(タクシー代など)

出張を含む公証役場側の費用の総額は、財産額・受遺者数・作成場所によって変動しますので、事前に公証役場へご確認いただくことをおすすめします。なお、当事務所のサポート報酬は別途ご案内しています(出張に伴う追加費用は当事務所側では発生しません)。「法務局や公証役場で何時間も待たずに、ご自宅や病室で完結できる」というメリットは、ご高齢の方やご家族にとって非常に大きな安心材料です。

時間負担と費用負担、どちらを重く見るか

広島駅前エリアで相続・遺言のご相談を受けていると、次のような声をよく伺います。

「自筆証書+保管制度の方が安いのは分かるけれど、親を法務局に連れて行くのが心配」
「公正証書は高そうで一歩踏み出せなかったけれど、実際の金額を聞いてみると、思っていたほどではなかった」

3つの選択肢を、時間・費用・体の負担の観点で整理しました。

項目自筆証書+
保管制度
公正証書遺言
(公証役場)
公正証書遺言
(出張作成)
本人の移動法務局まで本人が出向く必要あり公証役場まで本人が出向く公証人が自宅・病院・施設に来訪移動ゼロ
当日の待ち時間1件あたり1〜2時間程度の待機もあり得る負担大予約制で比較的スムーズなことが多い本人は自室等で待機、移動・待合時間ほぼゼロ最小
公的な基本費用保管申請手数料は1通3,900円安い財産額・受遺者数により異なる(公証人手数料令による)通常手数料の5割増し+日当・交通費(財産額・作成場所で変動)
身体的負担高齢・持病があると負担大要注意一定の移動・待機負担あり身体的負担を最小限にできる安心

あさかぜ法律事務所(広島駅前)からのメッセージ

当事務所では、「とにかく安く済ませたい」というお気持ちを否定することはありません。そのうえで、「その節約のために、ご本人が無理をして何時間も役所で待つ価値があるかどうか」は、ぜひ一度立ち止まって考えていただきたいポイントです。

次のような方には、自筆証書遺言+保管制度を前提にした「ライトサポート」もご提案できます。

  • 体力に自信があり、ご自身で調べて書類を整えるのが苦にならない方
  • 財産額がそこまで大きくなく、とりあえず最低限の意思表示を残したい方

一方で、次のような方には、公正証書遺言(公証役場 or 出張)をおすすめしています。

  • ご高齢で長時間の外出・待機が心配な方
  • 広島市内やその近郊に住む親御さんがおり、遠方のお子さんがなかなか付き添ってあげられないご家族
  • 財産額や家族関係が一定以上に複雑で、「揉めないようにしっかり形にしておきたい」方

「どちらが合っているか分からない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
当事務所では、ご状況をうかがったうえで、最適な遺言の方法をご一緒に考えます。

広島で遺言作成について法律相談をお考えの方へ|弁護士法人あさかぜ法律事務所・広島駅前事務所

お待ちしております。広島駅前事務所 後藤信彦

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