遺言書は、書きさえすれば希望どおりに実現されるものではありません。
・長男には生前に事業資金を渡しているから、今回は取り分を少なくしたい
・介護をしてくれた長女の苦労を、相続分に反映させたい
・同居してくれた長男の妻にも、何か報いてやりたい
・葬儀は家族だけで静かに済ませてほしい
ご相談の場でよく伺うご希望です。しかしこの中には、そのまま遺言書に書いても思ったとおりの結果にならないものが、複数含まれています。
遺言で法的な効力が生じる事項は、法律で限定されています(遺言事項法定主義)。それ以外の記載は「付言事項」と呼ばれ、相続人を拘束する力を持ちません。
問題は、この線引きが直感と一致しないことです。「これは気持ちを書く欄だろう」と思って書いた内容が、実は本文に条項として書かなければ実現できないものだった ―― という取り違えが、実際に起きています。
広島駅前事務所のサイトで、4つの論点を整理しました
① 生前贈与を「考慮しないでほしい」
持戻し免除の意思表示は、付言に「あれは考慮しないでほしい」と書くだけでは足りません。本文の条項として、贈与の年月日と内容を特定して記載する必要があります。さらに安心のための手段もあります。
② 介護をしてくれた相続人の貢献を反映したい
寄与分は法定遺言事項ではなく、遺言で定めることができません。「寄与分として○○を与える」という書き方は、登記の場面で通らないおそれがあります。正解は、意外なほどシンプルです。
③ 長男の妻に報いたい
遺贈と特別寄与料は、両取りできません。「遺贈もしておいて、足りなければ請求してもらおう」という設計は成り立たず、方針はどちらかの二択になります。
④ 葬儀の希望を書き残したい
封印された自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認を経なければ開封できません。葬儀は、検認手続を待ってはくれません。付言事項の内容と、遺言書の形式選択は、切り離して考えられないのです。
あわせて、付言事項そのものの書き方についても、実務上とくに重要な2点(判別可能な書き方にすること/不利益を受ける相続人にも納得してもらえる表現にすること)をご説明しています。
記載例まで含めて解説していますので、遺言書の作成をご検討中の方、すでに作成済みの遺言書をお持ちの方は、ぜひご覧ください。
すでに作成された遺言書について「この書き方で本当に実現するのか」を確認したい、というご相談も承っております。内容を確かめられるのは、ご本人がお元気なうちだけです。
📞 お電話で無料相談082-207-0720 (タップで発信)



