「相続人同士、会ったことがない」は珍しくない

相続のご相談を受けていると、「相続人の中に、一度も会ったことがない人がいる」というケースに出会うことがあります。

たとえば、被相続人(亡くなった方)に兄弟姉妹がいて、その兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代わりに相続人になります。これを「代襲相続」といいます。さらに、相続人になるはずだった方が遺産分割前に亡くなっていた場合には、その方の相続人が権利を引き継ぐ「数次相続」が重なることもあります。

こうした事情が重なると、相続人は

  • 山口県内
  • 岡山県
  • 大阪府
  • 埼玉県

というように、全国各地に散らばってしまうことが珍しくありません。しかも、相続人同士は「いとこ」にあたるだけで、これまで一度も顔を合わせたことがない、連絡先すら知らなかった、というケースも多々あります。

会ったことのない相続人同士で、なぜ合意が必要なのか

遺産分割は、原則として相続人全員の合意(遺産分割協議)がなければ成立しません。これは、代襲相続・数次相続で相続人の数が増えた場合でも変わりません。

つまり、

  • 面識がない
  • どこに住んでいるかも分からない
  • 連絡先も分からない

という状態からスタートして、最終的には全員の実印・印鑑登録証明書を揃えなければならないのです。

弁護士が受任すると、まず戸籍を辿って相続人を確定し、住所を特定するところから始まります。実際のご依頼でも、相続人の一人から「他の相続人とは全く面識がない」というお話を伺うことは珍しくありません。それぞれの相続人に、被相続人との関係や相続の経緯を一から説明し、意向を確認していく作業が必要になります。

全員を一堂に集めなくていい ― 「遺産分割協議書」ではなく「遺産分割協議証明書」を

相続人が全国に散らばっている場合、実務上大きな壁になるのが「どうやって全員の署名・実印を集めるか」という点です。

一般的にイメージされる「遺産分割協議書」は、1通の書面に相続人全員が署名・捺印する形式です。しかし、相続人が遠方に点在している場合、1通の書面を郵送で回覧すると、紛失や延着のリスクが高く、時間もかかります。

そこで有効なのが「遺産分割協議証明書」という方式です。これは、

  • 遺産分割の内容を記載した同一内容の書面を相続人の人数分用意し
  • 各相続人がそれぞれ手元で署名・実印を押し、印鑑登録証明書を添付する

という形式です。全員が同じ書面に一度に署名する必要がなく、各自が自分の都合の良いタイミングで手続きを済ませられるため、

  • 郵送でのやり取りだけで完結できる
  • 一人が対応に時間がかかっても、他の相続人の手続きを止めない
  • 遠方の相続人にとって心理的なハードルが下がる

というメリットがあります。法的な効力は通常の遺産分割協議書と変わらず、各証明書を合わせることで、相続人全員の合意があったことを証明できます。

「法定相続分でいい」という意向をどう形にするか

相続人同士に面識がなく、財産的な結び付きも薄い場合、多くの方が「揉めたくないので、法定相続分どおりでよい」という意向をお持ちです。今回のようなケースでも、複数の相続人から同様のご希望をいただくことがあります。

このとき重要なのが、

  • 各相続人に個別に「意向確認書」を送付し、書面で意思を確認する
  • 法定相続分に基づく取得額をあらかじめ提示し、認識のズレを防ぐ
  • 銀行口座の相続手続に必要な情報(口座番号等)を、証明書取得と同時に確認しておく

という段取りです。これにより、面識のない相続人同士が直接やり取りをする必要がなく、弁護士が窓口となって手続きを進めることができます。

弁護士法人あさかぜ法律事務所ができること

このように、代襲相続・数次相続が絡み、相続人が全国に散らばっているケースでは、

  1. 戸籍を辿った相続人の確定・住所調査
  2. 各相続人への説明・意向確認書の送付
  3. 遺産分割協議証明書による、郵送完結型の手続き
  4. 金融機関との解約・払戻し手続きの代行

まで、一気通貫でサポートすることができます。「相続人の中に会ったことがない人がいる」「そもそも相続人が誰なのか分からない」という段階からのご相談も歓迎しております。

弁護士法人あさかぜ法律事務所では、こうした複雑な相続関係のご相談を数多くお受けしています。まずはお気軽にご相談ください。

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