「遺言執行者には弁護士になってほしい。でも、自分が亡くなったことを、誰が弁護士に知らせてくれるのでしょうか」

遺言書の作成を考えている方から、このようなご相談を受けることがあります。

遺言書を作成しても、弁護士が亡くなったことを知らなければ、遺言執行の手続を進めることができません。

身寄りのない方や、親族と疎遠になっている方にとっては、切実な問題です。

この問題には、法務局の通知制度や生前の見守りなどを組み合わせて対応する方法があります。

今回は、広島市で利用できる見守り・終活支援制度と、死亡を弁護士へ知らせるための備えをご紹介します。

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親族がいても、死亡の連絡をお願いできない場合がある

身寄りがないと感じていても、法律上の相続人がいる場合があります。

例えば、長年交流のない兄弟姉妹や、甥・姪などがいる場合です。

また、異母兄弟や異父兄弟がいる場合もあります。

そのような方が、遺言によって親族以外の人や団体に財産を残したいと考えることもあります。

しかし、財産を残さない親族に「私が亡くなったら、弁護士に連絡してほしい」とお願いするのは、心理的に難しいものです。

遺言の内容を、生前に親族へ知らせたくない場合もあるでしょう。

「親族がいること」と「死亡を知らせてくれる人がいること」は、必ずしも同じではありません。

そのため、親族からの連絡だけに頼らない仕組みを準備しておくことが大切です。

亡くなったことを遺言執行者に知らせる3つの備え

法務局の「指定者通知」を利用する

法務局の自筆証書遺言書保管制度には、「指定者通知」という仕組みがあります。

法務局が遺言者の死亡を確認した場合に、あらかじめ指定された人へ遺言書の保管を知らせる制度です。

通知先は最大3名まで指定できます。

遺言執行者となる弁護士や弁護士法人を通知先にすることもできます。

ただし、法務局が死亡そのものを発見してくれるわけではありません。

死亡を把握してから通知が届くまでには、一定の時間がかかることもあります。

また、公正証書遺言には、指定者通知と同じ仕組みはありません。

詳しくは、法務省「自筆証書遺言書保管制度・通知について」をご覧ください。

定期的な連絡や見守りサービスを活用する

遺言書の作成後も、弁護士事務所などと定期的に連絡を取る方法があります。

当事務所でも、ご事情に応じて月1回程度ご連絡し、お変わりがないか確認することがあります。

必ずしも、別途見守り契約を締結する必要はありません。

ただし、月1回程度の連絡では、異変の発見まで時間がかかる可能性があります。

より頻繁な安否確認が必要な場合には、民間の見守りサービスを利用する方法もあります。

緊急連絡先をあらかじめ登録しておく

病院や介護施設、賃貸住宅の管理会社などに、弁護士事務所の連絡先を伝えておく方法があります。

財布などに緊急連絡先カードを携帯する方法もあります。

ただし、弁護士事務所を連絡先にする場合には、事前に了承を得ておく必要があります。

誰が異変に気づき、誰へ連絡するのかを生前に決めておくことが大切です。

広島市で利用できる3つの見守り・終活支援制度

広島市には、一人暮らしの高齢者などを対象とした公的な支援制度があります。

① あんしん電話|緊急通報と定期的な声掛け

広島市では、病弱な一人暮らしの高齢者などを対象に「あんしん電話」を設置しています。

急病などの際にボタンを押すと、24時間対応の電話相談センターにつながります。

必要に応じて、消防局への通報や協力員による安否確認が行われます。

また、月1回以上の電話による声掛けも実施されています。

利用には年齢や健康状態などの条件があります。

原則として2名の協力員が必要ですが、確保できない場合には民生委員へ相談できます。

利用料金は、世帯の課税状況と機器の種類によって異なります。

月額169円から2,233円で、生活保護受給世帯等は無料です。

申込みは、お住まいの区の福祉課で受け付けています。

なお、緊急通報は基本的に利用者がボタンを押す仕組みです。

意識を失った場合などに、自動的に異常を検知する制度ではありません。

詳しくは、広島市公式HP「あんしん電話設置(高齢者)」をご覧ください。

② 高齢者地域支え合い事業|地域の人々による見守り

広島市では「高齢者地域支え合い事業」も実施しています。

地域包括支援センターが中心となり、民生委員や地域団体などと連携する事業です。

訪問、声掛け、電話などを通じて、高齢者を見守ります。

見守りを希望する方が、地域のネットワークに登録する仕組みもあります。

緊急時には、地域包括支援センターが関係機関と連携して支援します。

ただし、見守りの方法や頻度は、地域の実情によって異なります。

具体的な活動内容については、お住まいの地域のネットワークへお問い合わせください。

詳しくは、広島市公式HP「高齢者地域支え合い事業」をご覧ください。

③ 広島市いきいき人生ノート|将来の希望と連絡先を記録する

広島市は、終活支援の一環として「広島市いきいき人生ノート」を作成しています。

医療や介護についての希望を記録できるノートです。

緊急連絡先や、日常生活に関する大切な情報を整理することもできます。

遺言書の作成状況についても記録できます。

弁護士事務所を緊急連絡先にしたい場合には、あらかじめ事務所に相談しておきましょう。

連絡を受けることについて了承が得られれば、事務所名や電話番号をノートに記入しておく方法もあります。

ただし、このノート自体が遺言書になるわけではありません。

また、ノートを書くだけで市から弁護士へ死亡が通知されるわけでもありません。

ノートは、市役所や地域包括支援センターなどで配布されています。

公式HPからダウンロードすることもできます。

詳しくは、広島市公式HP「広島市いきいき人生ノート」をご覧ください。

死亡に気づいてもらうことと、弁護士への連絡は別の問題

広島市の「あんしん電話」や地域の見守り活動は、体調や生活状況の異変に気づくきっかけになります。

一方、「いきいき人生ノート」は、緊急連絡先や本人の希望を記録し、必要な人へ伝えるためのものです。

これらの制度を利用しても、遺言執行者である弁護士へ死亡の事実が自動的に通知されるわけではありません。

「異変に気づく仕組み」と「死亡の情報を弁護士に届ける仕組み」は、別々に準備する必要があります。

例えば、緊急通報によって安否確認が行われても、その結果が遺言執行者に伝わるとは限りません。

そのため、緊急連絡先の登録や、遺言書の保管方法も考えておく必要があります。

法務局の指定者通知は、死亡確認後の連絡手段の一つになります。

こうした方法を組み合わせることが、身寄りのない方の遺言では大切です。

葬儀や納骨などは、死後事務委任契約で備える方法もある

遺言執行者は、遺言の内容を実現するための手続を行います。

例えば、預貯金の解約や不動産の名義変更などです。

一方、葬儀や火葬、納骨などは、遺言執行者に指定されたことだけで当然に処理できるものではありません。

そこで、死亡後の事務を生前に第三者へ依頼する「死後事務委任契約」を検討する方法があります。

葬儀の希望や費用の準備についても、あらかじめ整理しておくことができます。

ただし、死後事務委任契約を結んだだけで、受任者に死亡の連絡が届くわけではありません。

死亡を知らせる仕組みについては、別途準備する必要があります。

身寄りのない方の遺言について詳しく解説しています

当事務所の府中HPでは、実際に寄せられたご相談をもとに、身寄りのない方の遺言について詳しく解説しています。

法務局の指定者通知の仕組みや、公正証書遺言との違いについて説明しています。

また、遺言執行者に弁護士法人を指定する方法や、死後事務委任契約についても紹介しています。

これらの法律上の仕組みは、広島市にお住まいの方にも共通する内容です。

▶ 「私が死んだことを弁護士はどうやって知るの?」身寄りのない方の遺言|詳しい解説はこちら

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